マンハッタン・ブルックリン・クイーンズ・ブロンクス・スタテン島の５つの区から成るニューヨーク。５つのどの地区にも隣接する街が多くあります。もし数日間だけニューヨークに滞在するようであれば、ビッグ・アップル（ニューヨークの街のニックネーム）だけに集中して楽しむのも良いですが、アメリカという国をよく知るためにはマンハッタンには必ず一度は足を運んでください。
ニューヨークは鮮やかなコントラストに溢れた街で、マンハッタンはそれを知るための第一歩にすぎません。ニューヨークの魅力の多くがマンハッタンに詰まっていることは事実ですが、今回は他の区に焦点を当てて紹介をします。全ての地区にそれぞれ違った良さがあり、個々で見ると全く別々の街のように思えますが、その全てが強く美しいニューヨークの街を作り上げているのです。
1. ブロンクス
ニューヨークの中で最も紛争が多く危険な地域とされていたブロンクスですが、近年はそんなことはなくなってきました！ブロンクスは、北西ニューヨーク、マンハッタンの上部に位置します。特に南ブロンクスは、マンハッタンに最も近い地区で、1970年代から1980年代にかけて劣化し腐った街のようになっていましたが、映画やテレビ番組のおかげでそのような悪い噂は消え去り、現在に至ります。多くの民族で溢れていたこの場所は、かつては人種差別や貧困に悩まされ、周囲から疎外され社会的にも非平等な街だったのです。
近年、若者の教育などへの大きな投資が行われているため、街は大きく変わってきています。ですがそれでも、街を徒歩で散策する際には必ず良識を持って安全な行動を心掛けてください。特にワトソンストリートや南ブロンクスを無計画に1人で歩くことは絶対にやめましょう。
しかしこの街はニューヨークの歴史を知るのなは最適な場所でもあります。大変さも悲しみも経験している街ではありますが、同時に美しい街でもあるのです。
ブロンクスで絶対に見るべきもの:
- ヤンキーススタジアム: ヤンキーススタジアムはブロンクスに位置し、プロ野球メジャーリーガーのニューヨークヤンキース発祥の地でもあります。このベースボールスタジアムは世界でも最も有名な場所と言えます。特に野球のファンではなくても、ヤンキースの試合を見に行くと誰もが楽しめる場所です。
- アパッチ砦: ポールニューマンが出演している映画で有名になった警察署
- ビッグ・パンの壁画: ビッグ・パンの名で知られるクリストファー・リオス。有名なヒップホップシンガーですが、問題を多数起こしました。犯罪でないとは言われていますが、伝説の人として知られています。
- 五隅の隣人: ヒップホップのゆりかごのような曲です。
- 「I love Bronx」の落書き
- アマドゥ・ディアロの壁画
- 「Headache Nelson」の壁画
- 植物園
2. クイーンズ
クイーンズは5つの区の中で最も古く、大きい場所です。そして、ブルックリン同様アメリカが独立するための革命に大きな影響を及ぼしました。 クイーンズの街は、ロングアイランドと共に、戦後までイギリスの支配下にありました。
また、クイーンズは1940年代にはジャズの聖地としても栄えました。ルイ・アームストロングやエラ・フィッツジェラルドなどの大物が、人種差別の中でこの土地をシェルターとして見つけました。その頃ジャズをしていた若者たちは、ビバップというジャズの新しい形をハーレムという土地で発展させていました。
近年この街では、多くの文化が共存し、130もの言語が話されています。事実、2006年には、ラテン語やスペイン語といった言語で書かれた本が扱われたニューヨーク他言語ブックフェアというイベントがクイーンズで開催されています。
また、ロスソプラノス、セックスアンドザシティ、ベティなどの映画のアメリカ版撮影もここで行われました。
クイーンズで絶対に見るべきもの:
- ホワイトストーン橋
- マルバ地区: ニューヨークの中で最も高級な住宅街の１つ。安い家を探しても、最低でも１６０万ドル（日本円でおよそ１億６千万円）は必要な場所です。この地区の住民投票により、観光客が歩き回ることはできませんが、公共交通機関からであれば景色を眺めることはできます。
- フラッシング・メドウズ・コロナ・パーク: 散策をしていると見つけられる、ニューヨークで一番美しいとされている公園です。また、約５平方キロメートル程の広さを有する、ニューヨークで２番目に大きな公園です。F・スコット・フィッツジェラルドのベストセラーとなった「グレート・ギャッツビー」という本にも出てくることで有名です。そして、メン・イン・ブラックをみたことがある人にとってはこの場所は憧れの街であることと思います。
この公園はニューヨークで有名な、ロバート・ムーゼスというアーバンプランナーによってデザインされ、1939年のワールドフェアの開催地ともなった。
1964年には別のワールドフェアの主催をし、その特徴あるデザインが世界に知れ渡った。
- フランク・シナトラ芸術学校
- ニューヨークタイムズ
- メッツ・スタジアム
- US オープンスタジアム
- かつて国連の本社だったクイーンズ博物館
- カルバリオ墓地
3. ブルックリン
マンハッタンはお金持ちで有名ですが、度を超えた有名なお金持ちというわけではりません。しかし多くの魅力を兼ね備えているため、常にスポットライトを浴びています。ブルックリンは、そんなマンハッタンとは違いますが、スポットライトに当たるコツを知っています。
ブルックリンは1834年に正式にアメリカと併合しました。内戦が起きた頃には、もうすでに国の中で３番目に大きな都市となっていました。しかし１世紀後にはボロボロになり、失業者が山のように出てしまいました。そしてその後、ニューヨークの街と併合することとなりました。
今では国際化の象徴、巨大都市として栄えてきていますが、その反面、著名人が多く住んでいることもあり、富裕層と貧困層の差は極端に存在しています。
ブルックリンはアメリカの中でもたくさんの歴史を有する街であると同時に、新しい流行や改革を生み出している街でもあるのです。
ブルックリンで徒歩で散策してほしい場所:
- 橋を渡り、ニューヨークの中で最も美しい街ダンボをしばらく散策してみてください。ダンボ（DUMBO）は、「Down Under the Manhattan Bridge Overpass（マンハッタン橋の高架道路下）」の頭文字を取って名付けられ、ブルックリン、マンハッタン橋とビネガーヒル地域の間に位置しています。
- ニューヨークの中でユダヤ人の大きなホームタウンとして知られるウィリアムズバーグ。熱心なユダヤ教信者は、第二次世界大戦後にニューヨークに渡りました。そしてブルックリンを本拠地に選び、戦後の傷を癒やすため、この地で家族との新たな生活を始めました。
- ブルックリン蚤の市
- ブルックリンハイツ
- 個性が集まる場所、グリーンポイント
4. スタテン島
ニューヨークでも忘れられがちな場所、スタテン島は、５つの区の中では知る人ぞ知る名所です。地下鉄では行くことのできない唯一の場所で、南マンハッタンから出航しているオレンジの船でのみたどり着くことができます。そして港からはバスを使うことで、様々な魅力的な場所を訪れられます。
1975年までスタテン島は、リッチモンドの名で知られており、ニューヨークの中で物理的に独立した地区でもありました。現在スタテン島は、151平方キロメートル程度の大きさで、マンハッタンからは最も遠く、そのため住民も５つの区の中では極端に少ない地域です。約47万人しか生活しておらず、混雑することもないので、ニューヨークの中では気持ちの休まる場所とも言えます。
この船でニューヨークに行く際は、下船することなく自由の女神を目にすることができます。スタテン島への船に乗船することは、必ず旅程に入れてほしい魅力があります。このマンハッタンからスタテン島への船は無料で、自由の女神に接近でき、美しい景色にも出会うことができるのです。
スタテン島でしてほしいこと:
- スナッグ・ハーバー
- エンパイア・アウトレット
- 歴史深いリッチモンドタウン: 過去にタイムトラベルしましょう！ここは島の中心部に位置し、17〜18世紀に作られた28の建物や博物館があります。外だけでなく内装も完璧な状態で保管されています。主要な建物では、何世紀も前にヨーロッパ人がこの地にたどり着き発展させた、当時力を持っていた産業(特に醸造業)の展示がされています。
- フランクリン・D・ルーズベルトストリートの遊歩道をイルカの噴水が見えるまで歩き、南ビーチに行ってぜひ泳いでてみてください。
5. 時間に余裕のある人へ: ハーレム
ハーレムは地区の1つではありませんが、マンハッタンと隣接している街です。マンハッタンとは別の独立した街となっています。歴とハーレムは、多くの差別があり紛争も多かったマルコム・Xの時代背景から、危険な街として知られてきましたが、近年その様子は大きく変わってきています。ここ数年の間で街は発展を遂げ、危険だった姿はなく、安全に訪れることができる街となっています。
ハーレムは、観光できる場所がたくさんあり、ニューヨークの中でも、ジャズ、ラテン、カリビアンミュージックなどが街中から聴こえる、音楽が最も栄えている街でもあります。
また、北マンハッタンと隣接している大きな街で、アフリカ系アメリカ人やヒスパニックの住民が多く生活をしています。
ハーレム散策:
- コットンクラブ: ある映画と同じ名前で、ジャズが発展し始めた最初の場所。
- ベテル・ゴスペル・カンパニーやアビシニアン・バプテスト教会などで開かれているゴスペルを聴きに言ってください。
もともとニューヨークにあったバプテスト教会(当時はエチオピア教会と呼ばれていた)から離れなければなったことに納得できなかった男女グループが、1808年に設立しました。
200年以上もの間ハーレムの集会所として使われていました。
- アポロシアター: アレサ・フランクリン、マイケル・ジャクソン、ジェームズ・ブラウン、ザ・スプリームス、マーヴィン・ガイ、スティーヴィー・ワンダー、エルトン・ジョン、エラ・フィッツジェラルド、ジャクソン5やクインシー・ジョンズなどたくさんの著名人がこの舞台に立ちました。このシアターは、「Amateur Nights」というエンターテイメントショーも有名で、アーティストを目指す人にとって最初の試練とも言え、そこで華々しい道を歩むか、そうならないかが決まると言っても過言ではありません。
- セント・ジョン・デバイン大聖堂に足を運んでみてください。
世界一大きな新しいゴシック調のお寺で、ニューヨーク聖公会の大司教と言える場所です。また、ここは世界で4番目に大きなキリスト教の教会でもあります。
- テレサホテル: フィデル・カストロの歴史において有名な場所です。
- 今は野球場として使用されているマーカス・ガーベイパーク含む、この街の多くの場所で、アフリカ系アメリカ人の人権のための紛争が起こりました。
マーカス・ガーベイは、ジャマイカ生まれの黒人国家主義者で、アフリカ出身の人々と世界を繋げて統一することが目的のパンアフリカ主義運動のリーダーでもあります。アメリカでは、彼は人権活動者やネグロワールド新聞社の創設者として知られており、その運送会社は「ブラックスターライン」や「世界黒人開発協会アフリカ社会連合(UNIA)」などと呼ばれていました。
- ブラウンストーンの家
- ルヴァンの世界一おいしいクッキーも食べてみてください。
