クライド川の岸にあるグラスゴーは、スコットランドで最も大きな街です。非常に魅力的な街で、特に休暇のシーズン中は楽しめる場所がたくさんあります。歴史深い場所、博物館、賑やかなバーや家族でショッピングが楽しめる場所など、どのような世代の人であっても充実した時間が過ごせます。
車でエジンバラ(Edinburgh)から1時間ほど西に走ると、6世紀から続くグラスゴーのルーツを辿ることのできる場所があります。この時代には聖ケンティガンがこの地域を訪れ、宗教コミュニティをつくり出しました。
近年、グラスゴーには100近くの庭園や公園があり、この数はヨーロッパ(Europe)全体を見ても非常に緑が多いことを意味します。また、この街のゲール語表記Glaschuは、訳すと「緑の峡谷」という意味になり、グラスゴーが「緑に愛される場所」と呼ばれるのも理解ができます。
ヨーロッパ西部低地地方にあるこの活気のある街を訪れる際には、ぜひこれから紹介する場所をチェックしてみてください。
ジョージスクエア

キングジョージ3世から名付けられたこのジョージスクエアは、この街の主要の広場です。泥まみれの無法地帯だったこの場所が、整備され庭園となったのは18世紀のことです。今では、グラスゴーのおよそ6分の1の公共の広場で、セントアンドリュースデーやホグマネイなどのイベントを祝福するために、人が集まっています。
ジョージスクエアにはいくつかの像や記念碑が飾られています。中心の目立つ場所には、ウォルター・スコット卿に捧げた柱があります。また、他にもトーマス・キャンベルやロバート・バーンズなどの詩人や、ロバート・ピールなどの政治家の像も飾られています。
さらに、カルロ・マロチェッティによってつくられた、ビクトリア女王やアルバート王の像も見る価値が十分にあります。

ジョージスクエアの周りには、歴史深い建物がいくつかあります。東側にある、まるで宮殿のような市議会議事堂は、建築家ウィリアム・ヤングの独創的な発想を元につくられました。1874年に建設された、西側にある商人の家と呼ばれる建物では、様々な音楽イベントが開催されています。
歴史ある場所を見て周りたいという場合は、ぜひミレニアムホテルをチェックしてください。また、ジョージスクエアの北側にある、1905年に建てられたスコットランドレールウェイホテルも特徴ある建物のため、おすすめです。
グラスゴー植物園

グラスゴー植物園(Glasgow Botanic Gardens)は、1842年から、街のウェストエンドの地域にあります。もともとは、コンサートを始めとし、様々なイベント開催を行っており、現在は植物が好きな人が多く訪れる場所となっています。
色とりどりの花であふれる庭園には、チューリップやランなど様々な花が飾られています。ヤシの木が飾られている小屋では、熱帯雨林からきた植物が生い茂っています。雑木林のエリアでは、葉を多くつけた木々が木陰を作ってくれています。

この施設の見どころの1つにキブルパレスがあります。19世紀につくられたガラス張りのこの素敵な建物には、錬鉄の枠組みや華やかな柱が施されています。内部には、オーストラリアやニュージーランドからきたシダの木があり、その中のいくつかは樹齢100年を超えています。食虫植物やランの花も育っていますよ。
また、植物だけではなく、キブルパレスには彫刻作品も飾られています。中には1800年代後半に作られた、ジョバンニ・チニセルリの「エルフ」やエドウィン・ロスコー・メリンズの「カイン」も含まれています。
さらにこの植物園の中にあるティールームでは、室内外で軽食を楽しむことができます。そしてキュレーターハウスでも緑に囲まれて食事が楽しめます。
ケルビングローブ美術館・博物館

この宮殿のようなケルビングローブ美術館・博物館は、グラスゴーの観光地の中で最も人気のある場所です。ケルビン川の岸にあるこの建物は、1888年から1901年の間に建てられ、スペインバロック調でロッカーブリッグスの赤い砂岩が使用されています。そして2003年から2006年の間に改修工事がなされました。
現在、ケルビングローブ美術館・博物館には、22の展示場に8000もの作品が飾られており、生活と表現の2つのカテゴリーに分けられています。生活のギャラリーでは、先史時代、人間の歴史や自然史に焦点が当てられています。また、恐竜の化石、動物の剥製やスピットファイア21号機なども保管されています。
表現のギャラリーでは、幅広い種類の芸術作品が展示されています。スペインの画家サルバドール・ダリの「十字架の聖ヨハネのキリスト」は、この美術館・博物館の中でも人気のある作品です。また、クロード・モネやオーギュスト・ルノワールなどのフランスの芸術家によって、19世紀に描かれた作品も保管されています。スコットランドの芸術作品には、グラスゴーの青年によってつくられたものも含まれています。スコットランドの近代絵画は、大きく分けるとこのグループに属しています。
グラスゴー・グリーン

15世紀に開かれたグラスゴー・グリーンは、グラスゴーの街の中だけではなく、イギリスの中でも最も古い公園です。このエリアは、公園ができるまでは沼地でした。後にこのエリアはきれいに整備されました。そして今では、大勢が集まってコンサートやスポーツイベントを楽しむことができるようになりました。
世界バグパイプ選手権がここで開催されています。また、トランスミット・ミュージック・フェスティバルの開催地としても知られています。さらに、グレート・スコティッシュ・ランという年に1回10月に開催される競技の最終地点もこのグラスゴー・グリーンとなっています。

グラスゴー・グリーンには、多くの目印となるものがあります。その1つにドルトン・ファウンテンがあります。この噴水は、高さが約14m(46フィート)もあり、ビクトリア女王が退位した時に建てられた像が中心に置かれています。
43.5m(143フィート)もの高さを誇るネルソン記念碑もまた、目立つ建造物です。この建物は、ホレーショ・ネルソンに敬意を表するために1806年に建てられました。1970年にA類指定建造物に認定され、2002年には改修工事が行われました。
この記念碑だけでなく、ピープルズ・パレスもA類指定建造物に認定されています。この場所は、1898年にローズベリー伯爵が、イーストエンドに住む住民に向けたカルチャーセンターとして建設しました。現在は、昔から現代までのグラスゴーの住民の生活の変遷が分かる博物館として人気があります。
パレスの裏側にはウィンター・ガーデンと呼ばれる、南国植物がたくさん飾られたビクトリア温室もありますよ。
ハイカーク・オブ・グラスゴー(グラスゴー大聖堂)

荘厳なグラスゴー大聖堂の歴史は12世紀から始まり、聖ケンティガンを称えるためにつくられました。また、グラスゴーの守護神とされる聖ムンゴへ向けての大聖堂ともされています。また、この大聖堂は、ハイカーク・オブ・グラスゴー(High Kirk of Glasgow)とも呼ばれており、カーク(kirk)は、スコットランドの方言で教会という意味があります。
この大聖堂は、スコティッシュゴシック調の建造物です。一時的に、ローマンカトリック教会とされましたが、それは中世時代、プロテスタントの宗教革命時期のみのことで、ほとんど無傷の状態で生き延びました。現在は、スコットランドを代表する教会として知られています。

深い歴史の中で、大聖堂の良さが身にしみて感じられることはたくさんあります。例えば、中にある講壇は15世紀初めにつくられました。また、会衆席は大聖堂の中でも最も古く、その歴史は1200年代まで遡ります。そして13世紀になると、7世紀頃、この大聖堂ができる随分前にはもう存在すると思われていた聖ムンゴのお墓が地下にたてられました。